コールセンターのASA(平均応答時間)とは?計算方法や改善策を解説

コールセンターにおいて、電話のつながりやすさは顧客満足度を大きく左右する重要な要素です。この「つながりやすさ」を客観的に測る指標が、ASA(平均応答時間)です。
本記事では、ASAの正しい計算方法から、オペレーターの負担を増やさずに数値を改善する具体的な施策までをわかりやすく解説します。
コールセンターのASA(平均応答時間)の定義と重要性
ASAの基本的な定義と計算方法、そしてなぜこの指標がコールセンター運営において重要視されているのかを解説します。
ASA(平均応答時間)とは
ASA(Average Speed of Answer)とは、顧客から電話がかかってきてから、オペレーターが応答するまでにかかった平均時間のことです。日本語では「平均応答時間」や「平均応答速度」と呼ばれます。
この数値が短いほど、顧客を待たせずにすぐ電話に出られていることを意味します。そのため、コールセンターの「つながりやすさ」を示す代表的なKPI(重要業績評価指標)として、多くの企業で導入されています。
ASAの計算方法と目安
ASAは、以下の計算式で算出されます。
ASA = 応答までの待ち時間の合計 ÷ 応答件数
例えば、3件の電話があり、それぞれの待ち時間が「5秒」「15秒」「40秒」だったとします。この場合、待ち時間の合計は60秒となり、それを3件で割るため、ASAは「20秒」となります。
一般的なコールセンターにおけるASAの目安は、業種や規模にもよりますが、おおむね「10秒〜20秒程度」とされています。10秒以内であれば、顧客は「すぐにつながった」と感じやすいと言えます。
ASAがコールセンター運営で重視される理由
ASAが重視される最大の理由は、顧客満足度(CS)に直結するためです。電話をかけても長く待たされる状態は、顧客にとって大きなストレスになります。
特に、クレームや急ぎのトラブルで電話をかけてきた顧客の場合、待ち時間が長いだけで不満がさらに増幅してしまいます。
ASAを短縮し、スムーズに電話がつながる体制を整えることは、顧客体験を向上させ、企業への信頼を保つために不可欠です。
SL(サービスレベル)との違い
ASAとよく似た指標に「SL(サービスレベル)」があります。ASAが「待ち時間の平均」であるのに対し、SLは「設定した目標時間内に応答できた件数の割合」を示します。
指標 | 意味 | 単位 | 例 |
|---|---|---|---|
ASA | 応答までにかかった時間の平均 | 秒 | 平均20秒で応答した |
SL | 目標時間内に応答できた割合 | % | 20秒以内に80%の電話に応答した |
例えば、ASAが平均20秒であっても、一部の顧客を数分間待たせているケースが隠れている可能性があります。
そのため、全体の平均を見るASAと、目標達成率を見るSLの両方を組み合わせて評価することが、正確な現状把握につながります。
コールセンターのASAが悪化する主な原因
ASAが長くなってしまう背景には、どのような原因があるのでしょうか。代表的な要因を解説します。
オペレーターの人員不足と入電数の急増
最も直接的な原因は、入電数に対してオペレーターの人数が足りていないことです。慢性的な人手不足や離職率の高さにより、常に電話が鳴りっぱなしの状態になっているセンターは少なくありません。
また、新商品の発売やキャンペーンの実施、あるいはシステム障害などのトラブル発生時に、一時的に入電数が急増することもあります。このような突発的な呼量の増加に対して人員配置が追いつかないと、待ち時間が長引き、ASAは一気に悪化します。
オペレーターのスキル不足による対応の長期化
経験の浅いオペレーターが多い場合も、ASAは悪化しやすくなります。知識やスキルが不足していると、顧客からの質問にすぐ答えられず、マニュアルを調べたり管理者に確認したりする時間が増えます。
1件あたりの対応時間が長引けば長引くほど、他の電話に出る余裕がなくなり、結果として全体の待ち時間が延びてしまうという悪循環に陥ります。
AHT(平均処理時間)の増加と問い合わせの複雑化
AHT(Average Handling Time:平均処理時間)とは、通話時間と通話後の事務処理(後処理)時間を足したものです。このAHTが長いと、次の電話に出るまでの待機時間が長引くため、ASAの悪化を招きます。
近年は、商品やサービスが複雑化しており、FAQだけでは解決できない難易度の高い問い合わせが増加しています。これにより、1件あたりの解決に時間を要するケースが増え、結果的に全体のつながりやすさを圧迫しています。
業務プロセスやフローの非効率さ
人員もスキルも足りているのにASAが悪い場合、業務フロー自体に無駄がある可能性があります。
例えば、着信時の振り分け設定(ルーティング)が適切でなく、担当外の窓口につながってしまい、別の部署へ転送する手間が発生しているケースです。
また、通話後のシステムへの入力項目が多すぎる、マニュアルがどこにあるか分かりにくいといった非効率な環境も、オペレーターの時間を奪い、応答の遅れにつながります。
コールセンターのASAを改善・短縮する具体的な対策
ASAを改善し、電話をつながりやすくするための具体的な施策をご紹介します。
オペレーターの教育強化とマニュアルの整備
まずは、オペレーターの応対スキルを底上げし、1件あたりの対応時間を短縮することが重要です。定期的な研修や、実際の通話録音を用いたロールプレイングを実施し、スムーズな案内ができるよう教育を強化します。
同時に、オペレーターが使うマニュアルやトークスクリプトの整備も不可欠です。知りたい情報がすぐに検索できるデジタルマニュアルの導入や、視覚的にわかりやすいフローチャートを用意することで、確認にかかる時間を大幅に削減できます。
WFMを活用した人員配置の最適化
入電の波に合わせて適切な人数のオペレーターを配置するために、WFM(ワークフォースマネジメント)の考え方を取り入れます。過去の入電データや季節変動のトレンドを分析し、「いつ、どれくらいの電話がかかってくるか」を予測します。
この予測に基づいて、入電が集中する時間帯に手厚く人員を配置する柔軟なシフトを作成することで、無駄な待機時間を減らしつつ、つながりやすさを維持することができます。
FAQの充実による自己解決の促進
コールセンターにかかってくる電話の多くは、「パスワードの変更方法」や「営業時間の確認」といった定型的な質問です。これらのよくある質問をWebサイトのFAQページにわかりやすくまとめ、顧客自身で解決(自己解決)できるように促します。
顧客が自ら答えを見つけられれば、入電数そのものを減らすことができます。また、オペレーターが手元で検索するための内部向けFAQを充実させることも、対応スピードの向上に直結します。
IVRやチャットボットの活用
問い合わせを分散させるのも非常に効果的です。IVR(自動音声応答システム)を導入すれば、「料金については1を、修理については2を…」と事前に用件を振り分けられるため、適切な担当者に直接つながり、転送の手間を省けます。
さらに、AIチャットボットや問い合わせフォーム、SMSなどを活用し、簡単な手続きはWeb上で完結できる仕組みを整えることで、オペレーターの業務負担を大きく軽減できます。
CRM連携による顧客情報の即時把握
電話システム(CTI)と顧客管理システム(CRM)を連携させることで、確認作業の時間を短縮できます。着信と同時に、電話番号から顧客情報を自動で検索し、パソコンの画面に過去の購入履歴や問い合わせ内容をポップアップ表示させます。
これにより、オペレーターは「お名前とご用件をお伺いします」という確認の時間を省き、すぐに本題に入ることができるため、ASAの改善に大きく貢献します。
ASAを改善する際に気をつけるべき注意点
ASAの数値を改善する過程で陥りがちな落とし穴と、その対策について解説します。
応答品質や顧客満足度を低下させない
ASAの短縮ばかりを追い求めると、応対品質が低下する危険性があります。早く電話を切ろうとするあまり、顧客の話を途中で遮ったり、説明を早口で済ませたりすると、顧客は「雑に扱われた」と感じます。
結果として、問題が解決せずに何度も電話をかけてくることになり、かえって業務量が増えてしまいます。「早く電話に出ること」と「顧客の課題を最後まで丁寧に解決すること」のバランスを崩さないよう注意が必要です。
オペレーターに過度な負担やノルマをかけない
「1通話あたり〇分以内で終わらせるように」といった厳しい目標タイムをオペレーター個人に課すのは避けるべきです。過度なプレッシャーはオペレーターの強いストレスとなり、モチベーションの低下や離職につながります。
ASAの改善は個人の頑張りに依存するのではなく、マニュアルの改善やシステムの導入など、会社としての仕組みづくりによって業務負担を軽減するアプローチが基本です。
改善施策の定期的な効果測定と見直し
施策を実行して終わりではなく、その後の効果測定が重要です。ASAの数値が実際に短縮されたかだけでなく、SL(サービスレベル)やCSAT(顧客満足度スコア)といった他の指標も併せて確認します。
「待ち時間は減ったが、顧客満足度が下がっていないか」を定期的にチェックし、必要に応じてマニュアルの修正や人員配置の微調整を行うなど、継続的にPDCAサイクルを回し続けることが大切です。
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まとめ
ASA(平均応答時間)は、コールセンターのつながりやすさを示し、顧客満足度を大きく左右する重要なKPIです。この数値が悪化している場合、人員不足やオペレーターのスキル不足、業務フローの非効率さなど、さまざまな原因が考えられます。
ASAを改善するためには、単にオペレーターに急ぐよう指示するのではなく、教育体制の強化やマニュアルの整備、WFMによる人員配置の最適化、そしてIVRやチャットボットを活用したノンボイス化など、多角的なアプローチが必要です。
顧客を待たせない迅速な対応と、オペレーターが無理なく働ける環境づくり。この両立を目指すことが、持続可能で質の高いコールセンター運営を実現する鍵となります。

